月のあかり

今夜の月は、満月でないが明るい。

月明かりには思い出がある。

中学のとき、新聞配達をしていた。

田舎での新聞配達は、全く人の気配の無い

細い道を縫いながら、一戸一戸配っていく。

道はまっすぐでないから、街灯も頼りにならない。

自転車のライトは走れば前を照らすが、止まれば消える。

自転車を置いて、暗い路地を走って配る。

少し怖い。

そんな時、月のあかりがうれしい。

青い光は、思った以上に明るく道を照らしてくれる。

影もちゃんとできる。

昼間の風景とは違った、幻想的な風景が広がる。

怖さは少し和らぐ。

そして、ちょっと嬉しい。

でも、いつも明るいわけではないから

明るいときが来ると、これがまた嬉しい。

今は、24時間人工の灯りに照らされた街に慣れ、

月光、月影を楽しむようなことは無い。

当たり前に仕事から帰る途中には何も思わなかったが、

ベランダから月を見た時、ふとそんな思い出が浮かんだ。

見ている月は、みんな一緒なんだよね。

ちなみに、桑名正博の「月のあかり」はよく歌う (汗

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