最近は壁に選択できる素材がたくさんありますね。巷の住宅でよく目にするのはクロスでしょうか。クロスの中にはいろいろな模様やパターン、別の素材に似せたものなど、様々な選択ができますし、家族みんなで「どれにしようか?あれにしようか?」と悩んで決めるのも家づくりの一つの楽しみだと思います。
でも、私は白い壁をお勧めします。ざっくばらんに言うと、クロスでもペンキでも漆喰でも構いません。「白い壁」をお勧めするのです。当然、クロス・ペンキ・漆喰といった順に素材の持つ奥行きが醸し出され、その空間に時間と共に独特の魅力を与えるのは言うまでもありませんが。
ではなぜ「白」なのか?それは「白」という色が、その名の通り何にも染まっていない「純(ピュア)」な色だからです。私は家というものは「おおらか」でその家族をゆったりと許容できることが必要と考えています。「なんにでも染まるけどなんににも染まらない」。白ってそういう色だと私は思います。たとえば自分の娘や息子が使っていた部屋を、彼らの旅立ちと共に自分が使う事になった時、その白い壁に描かれた彼らの思い出は決して汚れには見えないはずです、白い壁に刻まれた思い出だからこそ「そのままにしておこう」なんて思うはずです。これが子供思考の柄モノであれば流石に「張替えようかなぁ~」なんて思ってしまうかもしれません。
要するに白い壁はその家のキャンバスなのです。老若男女問わず身近な色に包まれ時を刻むときその「白」という色に知らず知らずに思い出と幸せをもらっているのです。良く考えてみれば周りにはやはり「白い壁」は多いはずです。皆さんもこんな風に「白い壁」を考えて実現してみてはどうですか?できれば経過する時間により耐え、美しくなる奥行きのある素材で出来れば言う事はないのですが。