都市の中心、平成5年築の都市型マンションのリノベーション。バイク店を営むクライアントが、長年夢に描いていた「大人の隠れ家」を実現させるためのプロジェクトです。設計に当たり「きれい」ではなく、時間と共に「美しく」なる簡素な無垢素材を使い、空間の質と体積をまっすぐ正直に使う事をポイントとしデザインに取り組みました。最上階であることによる、RCの斜めの梁や壁を隠すことなく意識的に再利用し、最上階という空間の質をまっすぐに表現しました。また、2LDKという古い間仕切りを取り払った時に現れたL字型ワンルームという空間を利用し、サニタリーとバー、リビングとベッドルームをL字コーナーで緩やかに仕切り、且つおおらかにつなげました。クライアントと共に選んだ家具を置くことで、それぞれのエリアがよりはっきりと特徴づけられ、大らかで気持ちのいい一室空間ができたのではないかと思っています。
写真(最後の二枚除く):藤井稔