小上がりのススメ

「小上がり」ってシステムありますよね。店舗では比較的多く取り入れられるシステムですが、住宅で体験された事がある方は少ないのではないでしょうか?
あえて「システム」なんて使っていますが、私としてはただ単に「和風」を演出する手法的なものでなく、生活や住まい方を豊かにする「システム」として立派な機能を持っていると思っています。
ではシステムとは?「有機体のように多くの部分が集まって一つの全体を構成し、その各部分が密接に結びついて互いに影響を及ぼし合っているさま。」だそうです。
さて、この小上がり。何をそんなに気に入っているかというと、その意味の通り、それがある事でそれぞれの空間が有機的につながって、互いに影響を及ぼし、なんとも機能的で“きもちいい”空間にしてくれるところが気に入っていますし、お勧めしたいのです。
まず、その特徴としては「小上がり」だけに小さく上がっています。つまり床にレベル差がある。その事で間仕切りがなくとも緩やかに空間を仕切ってくれます。そしてその床のレベル差が故に、天井高に変化が出ます。しかもその変化は、住まい手が動く事によってはじめて変化するのです。

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写真は「小上がり和室」つまり畳を敷いた居室なのですが、レベル差を生じる事で床の仕上げを自然に畳にする事が可能ですし、その事によって低くなった天井高が、本来の座って使う和室に心地よい天井高として空間を提供してくれます。ついでに床が上がった分だけその下は収納として活用できます。限られた平面の中に収納を確保しようと思うと、どうしても居室の面積をいじめる事になります。しかし「小上がり」にすることで立体的に空間を使う事ができます。「足の振る舞い」も「土足→上履き→裸足」と変化がつき、改めて日本の靴脱ぎ文化を楽しむことができます。

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上の写真のように、「小上がり」をリビングとのつながりで配置する事によって、その段差に腰を掛けるという選択をするという事で、大きく鎮座しがちなソファーをあきらめることができました。
客人が来た時には、なぜかまず「小上がり」に腰を掛けます。日頃も食事以外はダイニングチェアに座らず、ついつい「小上がり」に腰掛けます。「小上がり」を舞台に見立てた、子供の踊りをダイ二ングから眺めたり、リビングの家族の姿を「小上がり」から映画のスクリーンの中に見立ててみたりと、いろんな楽しいシーンが展開します。小さな子どもの成長にも寄与していると思います。小あがりから落ちて危険を察知する能力がつきますし、ハイハイからタッチする時の手がかりにもなります。早いうちから段差を上がり降りしたり、飛んだりする事で運動神経も良くなるような気がします。
機能的にはダイニングと小上がり和室で15人ぐらいの食事スペースを取ることができますので、いろんな宴にも対応可能ですし、建具を絞めて客人の寝室にしたりすることも可能です。
使う素材も必ずしもたたみでなければいけないというわけではありません。下の床材をタイルや石、上の素材を絨毯。とか、上から下まで絨毯を貼りまわすとか、上が板間で下が土間とか、いろいろ対応する事が可能です。
まだまだ文章で説明のつかない事が満載で、すっきりお伝えできませんが、とにかく“きもちいい”わけです。
そんなこんなで消化不良で「小上がりのススメ」終わりますが、百聞は一見にしかず。真剣に家づくりをお考えの方はご案内しますので、こちらからお好きな方法でご連絡ください。

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