置き家具の設計させていただきました。

shoe shelf

撮影:二宮靖夫

ご実家のリフォームの設計をさせていただいたクライアントから家具の設計をご依頼いただきました。

第一の目的は「靴箱(shoe shelf)」です。

住宅の設計をさせていただくと、よく「造り付け家具」は同時に設計をすることが多いのですが、置き家具の設計となるとなかなかありません。

置き家具となると、移動させてどこへでももって行くことが可能になってくるので「そこでしか成立しない家具」というより、置く場所が変わることによって色々な用途に変化できるようにと考えました。(クライアントには内緒にしてますがw)

ひとつの想定としては、壁を背において照明器具や鏡、小物ををディスプレイなどしてコンソールテーブルとして使うこと。
収納としての機能を大きく期待しないシチュエーションの時に飾り棚的に使ってもらえるように考えています。

もうひとつは、ちょっとしたローパーティションとして使うこと。
リビングスペースがある大きめのホテルの客室にやわらかく空間を仕切るために収納をかねた置き家具を目にすることがあると思いますが、この家具にもそういったことをイメージしてデザインしています。
裏表や右左などの方向性をなくして状況に応じておきやすくすること。壁を背に置かなくてもいいようにデザインしています。
また、裏表とも扉が開閉できるようにして使用感に方向性がないようにすることにして、部屋のセンターにローパーティションとして使用した時にどちらからでも使用できるように考えています。

別注家具

撮影:二宮靖夫

デザインする際の手法としては「シンメトリー」と「装飾の抽象化」「無垢材の使用」を意識しています。

「シンメトリー」については先に記したとおり、表裏左右の方向性をなくすことで、使用するシチュエーションが増えると考えています。

「装飾の抽象化」についてはモダンになり過ぎず、様式的にもなり過ぎずを意識することで、空間への対応性、使用者の世代感など置かれる環境や使用する人の嗜好に大きく作用しないように、そっと主張できるデザインを考えたつもりです。

「無垢材の使用」は私の経験上ですが、無垢材は今後長く使われていく家具の一つのポテンシャルとして「変わっていくこと」つまりカスタマイズすることに対してすごく柔軟です。いわゆるこういった箱物家具は「フラッシュ」という箱板を使用することが多いのですが、単純にネジや釘を取り付けるだけでも意図したところに取り付けられなかったりするのですが、無垢材であればその加工性のよさからそういったことも簡単に出来ます。使用者自身が必要な時に必要な手を加えることが出来るだけで、長く使っていけるものです。

家具の装飾

撮影:二宮靖夫

住宅の設計をする際、私が常に意識しているのは、簡単に消費されないこと、愛着をいかに盛り込んでいけるか、いかに時間に耐え住み継げるかということです。
今回ご依頼いただいた家具もそんなことを考えながら設計させていただきました。

こういう家具を作る時、頼りになるのが木工職人さんです。
こちらの意図を全部話さずとも汲み取ってくれて、技術として何が出来るかを提示してくれること。
こちらの設計意図を快くカタチにしてくれた木工職人の二宮靖夫さんに感謝します。
wood-furniture-plus1

そして、この家具を依頼してくださったクライアントのMさん
このスピード重視の世の中で、たっぷりと時間を頂き、しっかりとお任せいただいたこと感謝します。

日ごろ住宅の設計をする私としても、珍しい仕事だったのでここに書かせていただきました。