気持ちいい鏡の使い方

鏡という素材は建築素材の中でかなり特殊だと私は思います。よく商店建築で使われ、住宅で「素材」として使用する事はあまり聞いたことがありませんよね。どうしても鏡の映り込みという特殊な性能が「商業ベース」としてイメージさせてしまうからでしょうか。
私はこの「鏡」という素材を有効に住環境に使っていきたいと思っています。鏡の映り込みによって「狭い家を広く見せる」という単純な使い方でなく、その鏡がある事によって本来の「映す」という機能を使いながら「こっそりと気持ちよさを演出する」みたいな使い方を目指しています。
たとえば下の写真、小あがり和室と外部そサッシの間に「縁側のような場所」をつくって、突き当りに「鏡」をしつらえています。

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こうする事で視覚的には「縁側のような場所」が延長され、広く見えると同時に、本体“きもちいい”場所である「縁側」をさりげなく演出しています。外部サッシ側の「端っこ」にしつらえる事で日常生活する自分たちの姿はあまり映り込むことがなく、外部も連続して広がっていくので開口部も同時に広いものとなり、まさにそこに縁側があるかのような演出をしてくれます。
副産物としては「光」が反射し採光も思った以上に確保できるという事です。写真は西側の壁面に鏡を設置しているのですが、「朝日」をうけて本来朝は光が届かないはずの部屋の東側も明るくする事に貢献しています。

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機能的には「鏡」ですから、本来の「姿見」などに大いに活用できます。しかも本来は姿見などは大きな家具になってしまいますからその置き場所、つまり一定のスペースをとられてしまいます。置き家具の姿見の後ろなんか活用しづらいスペースですし、ホコリもたまり易く、まさにデッドスペース。鏡をしつらえる事によってそんなメリットもあります。ここの場合は鏡の裏は収納です。

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文章ではなかなか説明しづらいのですが、人の行為も変わります。娘が鏡に自分の姿を映して踊りの練習をしたり、服を着てポーズをとったり、ここでは伝えきれないいろんな「サプライズ」があってとっても楽しいですよ。
住宅の設計はこのように設計時に予測できない“たのしい行為”が起こるような“きもちのいい場所”をつくっていく事が大切で、それが我家の愛着につながるのではないかと思っています。
しかしながら「ん~文章と写真じゃようわからん」という方は「百聞は一見にしかず」という事でお気軽に「みせて?」と問い合わせてみてください。真剣に家づくりをお考えの方であれば、出来る限りご案内差し上げたいと思っています。

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