夢のはじまり

そもそも私がなんで建築を志したのか。
建築に携わる今の自分があるのも、全てこれからお話しする事にあるといっても過言ではありません。

私が大学3回生の時、恩師の薦めにより「オープンデスク」なるものに参加しました。
「オープンデスク」とは実際に建築設計事務所にアルバイトのようなかたちで参加して、実務に触れ、生の「建築設計」を体験して今後に活かしていこうといった趣旨のものです。
そのオープンデスクでの私の行き先は「花の都、大東京」は「環境デザイン研究所」。かなり立派な事務所です。
田舎モノの私としては「東京」に長期滞在するというだけで舞い上がってしまいそうなところに来て、そこの所長は仙田満先生といい「こどもの遊び環境」の権威ですばらしい論文を多く発表され、それらを元に実際に遊具や建築を世にたくさん創り出されている方ですから、私にとってはいきなり頂点のような事務所にお邪魔したわけで、その舞い上がり方といったら今でも思い出すだけで恥ずかしくなります。
ちなみに私の故郷である広島の愛する「広島カープ」のホームグランドである「新・広島市民球場」の設計を「環境デザイン研究所」が設計されることになったのもなんだか縁を感じます。

仙田満先生率いる「環境デザイン研究所」は当時大きく分けて4つのチームが存在していました。
「都市」「建築」「造園」「遊具」
そして、この4チームにそれぞれその分野のエキスパートがリーダーとして存在します。
私はこの4チームの仕事を、ほんの僅かなお手伝いをしながら順にまわらせていただきました。
それぞれ特徴ある仕事をされており、それぞれのチームでリーダーを筆頭にチーム全員がとことん議論して質を高めて行こうとする姿に若輩ながら心を打たれました。当然の事ながら個々のチームで高めた仕事を一つの大きなプロジェクトとしてまとめ上げるのが所長と4リーダーです。その仕事の進め方に「全てのものに統一感のある美しく且つ機能的なものに」という姿勢が見て取れました。私は「オープンデスク」を通じてこれらの仕事を体験することができた事、そこでの人たちと交流できた事、これらの貴重な経験を元に恐れながら「よし、俺もこうなったる!」決意し、私の夢がはじまったと言う訳です。

と、ここまでは真実ながら真面目な方の動機を書きましたが、私にはもう一方でより決意を深めた話があります。
それは、また次回にお話しますね。

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